よしもとばなな『人生の旅をゆく』
<単純に、バカみたいに>
希望のないところには、人生はないと思う。みんな、どうしてしまったんだ、そんなにすごくならなくてもいいじゃないか、と思う。今日見たもののことを考えたり、しゃべったりしながら、普通に友達とか家族とかと過ごそう。仕事はそこそこできて、失敗もして、たまには達成もして、それを自分の小さな誇りにしよう。見たくないものやしたくないことのために使う時間を減らそう。でもしゃかりきに何ものかになろうとしたり、自分から発信したりなんかしなくていい、そんな疲れることはやめよう。ペースを落として、ひとつひとつの行動を寝る前にふり返ろう。一日健康でいられたことに、平和に、家族が生きていたことに普通に感謝しよう。
「そんなこと言ったって、そんなわけにはいかない、だって……」の言葉のあとにはいろいろな言い訳がくっついてくる。ひとりひとりがそれと戦おう。静かに、心を澄ませて。
自分の時間は自分のもので(たとえ人に雇われていても、その立場を選んだのは自分だ。そして全部を明け渡せなんてどんなえらい上司も要求できない)、自分の体は自分のものだ。体を整えてよく見れば、一日の中には必ず宝が一個くらい眠っている。それを大事に輝かせて、いい眠りの中に入っていこう。形ではない。どんな人とも違う、自分だけのやり方がある。それを思い出そう。
ばななさんの生き方が詰まった本なのだろうか。何事も受け止めて、必死になって生きて、その結果本に書けるほど自分をふり返れるんだろうなと思う。
やさしいようでいて結構いろんなことを主張しているからほかの人とぶつかることもあるだろうけど、その反発を受け止めて、責任を持って生きているんだと感じる。
いま本当に苦しい。
「これからこれ以上のことはザラにあるよ、甘いよ考え方が」とかもし言われたとしても今のわたしはほんとにしんどいんだけども、
そういう自分に染み渡ることばが詰まってて心地がいい。
しんどいと感じるのは「わたし自身」だもの。他人にどういわれてもしんどいものはしんどい。しょうがない。