恩田陸『蛇行する川のほとり』
雰囲気が蛇行。ゆらゆら。
「図書室の海」は酔ってしまったが、これはさらっと読めてよかった。
殺人(というか自殺幇助?)とか交通事故とか、結構重い要素が出てくるのに。さらり。自分に引きつけずに読めたからかな。
暁臣の姉が、死んでるのに存在感ありすぎて……強烈。香澄と芳野の同級生なのかな?でも、あの2人の間には入ってほしくないな。何かが壊れそう。笑
香澄と芳野はお互いに「愛してるわ」なんて言ってたけど、若干レズっぽいけど完全にそうではないっていう気もする。ていうか私レズ詳しくないからよくわからん。ソウルメイトとか家族愛とか、が近いのかもしれない。
蒸し暑ーい夏の頭がぼうっとしてる昼下がりに夢見てるみたいな、
もしくは熱が出ててうとうとしてるときみたいな、読んでてそんな感じがする。
それぞれの人物が何を考えているのか少しずつ分からないところがあって、なんとなく怖いかも。でも、好きだなあこれ。
「香澄と芳野の間に暁臣の姉は入ってほしくないって思った」
それって、すごく女子っぽい考え方なのかもしれない。
女の子の3人グループって、何気に難しい。絶対成り立たないわけではないけど、2人組より難しい。ある程度成長すればだんだん増えていくけど、2対1に割れちゃうおそれがあるものだ。とくに小中学生は。
みんなだいたい小さいうち(心がきわめて未熟なとき)に割れちゃうことについての後味の悪さを覚えて、自分が2人のほうにいけたら、ほっとすると同時に1人になった子への罪悪感を持って、自分が1人になってしまったら不安と裏切られた感と疎外感そして2人との今後の関わり方に悩んで、そういうのがあるからだんだん3人組でも成立できるようになるんだと思う。
ただ、その後味の悪さを繰り返したくないがために3人組になりそうだったら2人組のとき以上に気を遣って、平和な状態を維持する努力をするのだろう。知らない間に、2人でいる時よりもいろいろなことに気を配っている。はず。すくなくとも自分がそう。ただ、それが当たり前だと思っているからある程度までは負担には思わない。大学3・4年の演習は3人でもうまくいっていたと思うし疲れるなんてことはなかった。運がいい。
ごく自然に香澄と芳野の関係が壊れてほしくないと思うのは、わたしもまあ女の考えだってことか。
んー、読んだのだいぶ前だから2人の関係についての細かいところがあやふやだ。もう一度読んだら、「密接過ぎていつか行き詰まり(息詰まり?)そうだわ」とか言って、ころっと感想変わってたりして(笑)